【インタビュー 】ロシア人ドミトリィ氏による「透きとおる星座たち」

インタビュー

ドミトリィ氏から筆者へのインタビュー 「透きとおる星座たち」

インタビューされることになった経緯

ロシアのモスクワ在住
Dmitry氏(ドミトリィ)から
筆者(建水)へ
インタビューがありました。

僕が活動している
TINÖRKS(ティノークス)の
7枚目のアルバム
「Sinfonia」(シンフォニア)の
レビューを
彼がブログに書いたものを
僕が偶然に発見して
連絡したのが
今回インタビューを受ける
きっかけでした。

これはそのインタビュー記事を
僕が翻訳した日本語版です。

英語版、ロシア語版はこちら

Dmitry:(以下D)
今日はTINÖRKSの代表である
建水歩星氏に彼の楽曲、
音楽性や曲作りなどについて
話す機会を持つことができました。

このインタビューの前に、
TINÖRKSの
新譜「Sinfonia」
についての記事

読むことをおすすめします。

はじめに

D:
こんにちは。
今回、インタビューを
受けてくれて
ありがとうございます。

建水:(以下建)
いえいえ、
声を掛けていただけて
光栄ですし、
何を聞かれるのか
とても興味がありますので。

D:
それでは、始めましょうか。
まず、最初に
バンド(TINÖRKS)を
やろうと思ったアイデア
みたいなものは
何か覚えていますか?

建:
そうですね、
確かアコースティック楽器と
電子楽器を浮遊感のある
リズムトラックと
組み合わせたら面白いかなと
思ったのがきっかけです。

D:
それが浮かんだのは
雨上がりの時でしたか?
(※Komorebi[after a rain]
という曲を引き合いに出して)

[bandcamp width=100% height=120 album=2828436636 size=large bgcol=ffffff linkcol=63b2cc tracklist=false artwork=small track=3647467163]

建:
そうだったかもしれませんね(笑)

D:
音楽の学校で
学んだことがありますか?
それは役に立ちましたか?
それとも逆に悩ませたか、
考え方に影響を与えましたか?

もしそうでないなら
それについて
どう言う風に考えますか?

建:
音楽の学校に
通ったことはありません。
大学は経済学部でしたので。

個人的な考えとして
楽典やクラシックなどを
きちんと学びたいという以外は
学校に通うことは
そんなに重要では
ないように思います。

例えば、形式的なものを
絶対的なものとして
学んでしまうと面白い発想が
出てこないかもしれませんから。

私にとっては直感に従って
音楽を作っていくことが重要で、
曲を作る糸口のような
かすかなひらめきを
大切にしたいと思っています。

D:
TINÖRKSをはじめる前に
何か音楽活動をしていましたか?

建:
そうですね、
一番最初にはじめたものは
笛&ヴォーカルとピアノだけの
とてもシンプルなスタイルでした。

その後、TINÖRKSのような
エレクトロニカの
バンドをやりましたが
長くは続きませんでした。

D:
TINÖRKSという名前には
どういう意味がありますか?

建:
TINÖRKSには
何も意味がないんです(笑)
それは私が考えた造語で、
強いて言うなら
特定の形式を持たないものに
したかったという理由があります。

曲作りについて

D:
どういう風にして
曲を書きますか?
例えば何かひらめきの
ようなものが浮かぶとか…
もしくはセッションを繰り返す中で
まずは曲の骨組みの
ようなものを
決めているのですか?

建:
えっと…
例えば素晴らしい
芸術作品や風景に
出会った時や心が惹かれる
何らかの物語を知った時、
音楽で表現したい衝動が
無意識に湧き上がってきます。

そういう音楽以外の要素の方が
面白い音楽を書くための
きっかけになるかもしれません。

D:
特定の音から曲を
作りはじめるのですか?
例えば断片的な
メロディーのようなものや、
もしくはメインテーマのようなもの。

もしくは後々、いわゆる曲の
「組織と皮膚」になるような
骨組みのようなものから?

建:
曲作りはいつもリフのような
短いものから始めています。
曲のイメージ(何を表現したいか)を
はっきりさせる必要がありますので、
曲のベースとなる部分が
とても重要になると思います。

これは曲作り全体において
基礎のようなものだと思います。

D:
アイデアが浮かんだ時、
どうしていますか?

建:
部屋にいる時は、
たいていアイデアを
すぐにノートなどに
書き留めています。
けれど、
もしそういう状況でなかったら、
浮かんだものを
忘れるかもしれませんね。

だけど忘れるくらいなら
それはあまり重要なアイデアでは
ないかなとも思います。

D:
譜面は使いますか?

建:
デモ音源を作る時、
思いついた
良いフレーズを忘れないように、
たいていMIDIシーケンサーに打ち込んで
譜面を残しています。

D:
自然の音
(たとえば
松林を思い浮かべます)と
アコースティック音楽、
電子音楽の間には
明らかな違いがありますよね。

TINÖRKSの音楽において、
それらを分ける
音や質感の
境界線のようなものを
無くそうと考えましたか?

もしくは、むしろそれらを
全体の音の流れの中で
組み合わせる方向で
考えましたか?
要点が知りたいのですが…

建: エレクトロニカや
アンビエントのような音楽は
調和の関係性が
とても大切だなあと
思っています。

電子音と生楽器の音色を
うまく響かせ合うために
まずは電子音を柔らかな
質感にする必要が
あるかなと思います。

対照的に生楽器には
リバーブのような
エフェクトで程よい空間を
作ってあげる
必要があるかなと。

結果的にそれらは
音楽的なバランスを
とって落ち着くはずです。

自然の音と音楽との間には
深い隔たりがあると思いますが、
自然の風景を
心に思い浮かべながら
生楽器と電子音が
融合した音楽を聴くのであれば、
その隔たりは
きっと気がつかないうちに
消えていくだろうと思っています。

Sinfoniaについて

D:
Sinfoniaは
最も新しいアルバムですね。
リリースは2017年の最後の方で
このblog
(Dmitry氏のblog)でも
以前紹介しました。

この作品の背景にある
キーワードやイメージは何ですか?

【Permanent Ambient】TINÖRKS – Sinfonia Trailer

建:
Sinfoniaの記事を
書いていただいて
本当に光栄に思います。
ありがとうございます。

この作品のコンセプトは
夜空で輝いている星や星座、
暗闇の中の光で、
宇宙の果てや星座を
音楽的に表現したくて
曲を書きました。

聴いている人が
まるで宇宙を旅するかのように
音楽を通してイメージを
広げることができたらなあ
という思いを込めました。

D:
制作やレコーディングに関して
いくつか話してくれませんか?

建:
チェロ奏者が
途中で変わったこともあって
完成までに結構長く
時間がかかりました。

アートワークに関しては、
Yuka HIrakoさんに
デザインしていただきました。

Sinfoniaの核となるテーマを
丁寧に汲み取って
完璧に表現してくれたので、
彼女のデザインを
とても気に入っています。

彼女の世界観を
さらに広げるために
ジャケットには
2種類の用紙を重ねています。
CDを手にしてくれた方が、
Sinfoniaの世界観を
視覚的にと紙を触った時の
手触り感を
楽しんでもらえるような
仕掛けをしたつもりです。

建:
もうひとつ、
今回マスタリングを
OHAYO recording studioの
Kenji Hamadaさんに
お願いしました。

各楽曲の世界観、
バランスを損なわずに
奥行き感と柔らかな
アナログの質感が
感じられるように
丁寧に仕上げてもらいました。

宇宙空間に
浮いているような
心地良さを
感じてもらえると思います。

Sinfoniaは
TINÖRKSにとって
暗闇の中に
灯るかすかな光のように
希望を抱けるような作品です。

TINÖRKSの活動

D:
ライブはどのくらいの
頻度でやってますか?
またはスタジオでの
音作りの方がメインですか?

建:
最近はライブを
ほとんどしていないです。
ライブハウスで
ライブをすることに関しては
いくつか問題があります。

出演するための
システムなどに
腑に落ちない点があって…
だから、
結構見つけるのが
厳しいですが、
演奏するための
場所を自分たちで
開拓する必要があります。

TINÖRKSの音楽活動を
するにあたって、
できるだけ負担なく
活動を継続するためには、
今の所
その方法しかないのも
分かっています。

D:
音の方向性を決める際に
メンバーと議論しますか?
それとも建水さんの方向性に
メンバーが合わせる感じですか?

建:
曲のアレンジを考える時、
まずメンバーに音の方向性、
コンセプトを伝えます。

他のメンバーは基本的に
私のアイデアや考えに
今の所、
賛同してくれています(笑)

でも彼らも
アイデアを出してくれて
表現してくれるので、
いつもとてもいい
アレンジに仕上がります。

D:
次回のリリースに関して
すでに何かの制作に
とりかかっていますか?

建:
Sinfoniaをリリースした後、
いくつかデモ音源を作りました。
でも次回作の音の雰囲気、
方向性をまだ決めていないです。
それらは急に
思いつくかもしれませんが。

(※現在、
新譜EP「星のピアノ」を
リリースしましたが、
それはSinfoniaの企画のひとつで、
ここで述べているのは、
その後のアルバムの構想のこと)

D:
突然アイデアが
ひらめくことに関して、
このblogの読者のために
いくつか即興で
何か曲を披露してもらえますか?

建:
いいアイデアですね!
ピアノに向き合うと
何か思いつくかも…

(※EP「星のピアノ」に
収録の「Lino」は
Dmitry氏のアイデアが発端で
スタジオにピアノを
弾きに行ったのが
はじまりでした)

Lino piano solo played by Hosei Tatemizu

D: 披露してくれて
ありがとうございます!
実にすばらしい
雰囲気の曲ですね。

えっと、
それから…民族楽器を
バンドメンバーは
演奏していますよね?

建:
そうですね。
ヴォーカルを担当する雫は
アイリッシュフルート、
ティンホイッスル 、
ローホイッスル、
ラップハープ、
インディアンフルートの他、
鍵盤ハーモニカ、
メタロフォン、
バードコールなども演奏できるので、
かなり多才なプレーヤーです。

ギターを担当する霜野さんは
カリンバやアサラト
(アフリカ発祥の
民族楽器)も演奏して、

チェロ奏者の久々津さんは
ドラムや
シンセサイザーも演奏します。

私は主にシンセサイザー、
ピアノとウクレレ、
カリンバを
演奏することもあります。

ほんとにたくさんの
楽器がありますね!
メンバーに恵まれて
TINÖRKSは
可能性のあるバンドだと
改めて思いました。

D:
私の意見を
言わせてもらえると、
TINÖRKSは
オーガニックな響きが
印象的だと思いますし、
それが他のバンドにはない
大きな特徴であり、
優位な点だと思います。

おすすめの音楽

D:
おすすめの
ミュージシャンを
教えてもらえますか?

建:
尊敬している
ミュージシャンのひとりは、
ドイツ出身で
Whale vs Elephantで活動する
Tobias Braunです。

以前ドイツと日本で一緒に
ライブツアーをしました。

彼の作り出す音の雰囲気は、
TINÖRKSとどこか似ていて、
とても心地いいので
気に入っています。

いつかまた一緒に何か
プロジェクトを
するかもしれません。

Whale Vs Elephant – "Devil's Tale" (live at Melodica Trier) || Untold Stories

建:
次におすすめしたいのが
日本のkeshiki.
というバンドです。

キーボードと
ドラムからなる
2人組のグループです。

彼らの音楽には川の水面で
幻想的に輝いているような
美しい雰囲気があります。

運よく大阪で
ライブがあった時に

聴けたのですが、
彼らのパフォーマンスに
完全に魅了されたのを
覚えています。

その時間は
まるで違った世界に
旅しているような
感覚でした。
緻密に構築された
アレンジも聴き所のひとつです。

雪 月 華 -setsugekka-(e.p) trailer / keshiki.

建:
そして忘れてはならないのは、
toglovという
アーティストで、
彼は心地いい
アンビエントな世界観を
奏でてくれます。

16×16のLEDスイッチが
配置された電子楽器
「テノリオン」を
使ったパフォーマンスは、
音と光で
常にリスナーを魅了してくれます。

柔らかな音色を伴いながら
音と光が美しく同期して、
物語性のある音楽を
生み出してくれます。

だから聴いている人全員が
心地いい気分に
浸れると思います。

【Tenori-On】Kenta Toguchi Live at K.D Japon 20150116

D:
紹介してくれて
ありがとうございます!
挙げてくれた
ミュージシャンを
このblogの読者も
きっと気になると思います。

訪れたい国

以前、ヨーロッパで
コンサートをしたと
話してくれましたが、
次に訪れるとしたら
どの国に行きたいですか?

建:
ロシアやアイスランド、
スペインに
行ってみたいですね。
旅行が好きですし、
違った文化にも
興味がありますので。

過去には
オーストラリアをはじめ、
オーストリア、カナダ、
スウェーデン、
ドイツ、フランスに
旅行したことがあります。
特に芸術、音楽、建築や
考え方の違いに惹かれます。

D:
たくさんの国に
行かれてるのですね!
なんとうらやましい。

このgoosebumps blogにおいても
色々な地域の代表的な音楽などを
紹介していますが、
そういう意味で
私たちはこのblogを通して
出会えたのかもしれませんね。

SNSについて

ところで、どのSNSが
建水さん自身やバンドに
適しているかを
教えてもらえますか?

建:
SNSのアカウントは
いくつか持っていますが、
どれが最も自分に合っているかは
正直よく分かりません。

でも強いて言うのでしたら
blogかもしれませんね。
最近、自分の考えを
気軽に投稿できるように
tumblrを
また始めた所ではあるのですが…

興味のある音楽ジャンル

D:
どの音楽ジャンルに
興味がありますか?

建:
う〜ん、
どうしても言わないと
いけないのでしたら、
特定のジャンルというよりも
他と違った音や
表現スタイルに興味があります。

そうは言いつつ、
かなり前衛的なものや
扇動するようなものは苦手です。

説明するのは難しいですが、
好奇心をそそられるようなものに
惹かれるというのはあります。

オススメの本

D:
読書は好きですか?
紙媒体もしくは
電子書籍がありますが、
影響を受けた本が
あれば教えてください。

建:
もちろん読書は
好きなので、時々読みます。

今まで読んだ
たくさんの本から
何らかの影響を
受けていますので、
どれが一番影響を
受けたかを言うのは
難しいかもしれませんが、
ひとつ挙げるなら
写真家でエッセイストでもある
故星野道夫さんの考え方には
影響を受けました。

彼はアラスカに
人生の大部分の期間、
住んでいました。
彼は

「僕が暮らしている
ここだけが世界ではない。
さまざまな人々が、
それぞれの価値観をもち、
遠い異国で自分と
同じ一生を生きている」

という言葉を残しています。
曲を書く時には
必ずと言っていい程、
その言葉を思い出します。
彼は想像することの
素晴らしさを
教えてくれたような
気がしています。

長い旅の途上 (文春文庫) [ 星野 道夫 ]
楽天ブックス
¥ 842(2019/08/08 10:33時点)

(星野道夫さんの
「長い旅の途上」
創作の際にいつも
心の拠り所にしています)

D:
そうですね、
その言葉には
深い意味が
あるように思います。

人はそれぞれの心に
世界を持っていて、
その世界の違いに
お互いに気づくことは
ほとんどない。

それは自我だけではないけれど、
その人の人生を覆う
時間のようなものかもしれません。

さいごに

最後にこのブログの読者に向けて
少しメッセージをもらえますか?

建:
このインタビュー記事を
読んでいただきまして
ありがとうございます。
もしもまだ見たことがない
風景に旅をしたくなったら、
ぜひTINÖRKSの音楽を
聴いてみてください。

D:
建水さん、
インタビューに付き合ってくれて
本当にありがとうございました!
今後、音楽に対するひらめきが
さらに生まれることを
願っています。

これからのTINÖRKSの活躍を
応援しています。おおきに!

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